「新生児聴覚スクリーニングでリファー(再検査)になった」
「片耳だけ引っかかったけれど、これからどうなるの?」
出産直後の幸せな時間に、突然突きつけられる「リファー」という言葉。不安で夜も眠れない。
この記事では、新生児聴覚スクリーニングでリファーと言われたあと、実際にどのような流れで検査が進んだのか、どんな検査を受け、最終的にどんな結果に至ったのかを、母としての正直な気持ちとともに記録しています。
我が家の末っ子3人目が、出産直後の新生児聴覚スクリーニングにて初めてリファーとなりました。
最終的に精密検査で「正常」と診断されるまでの、母としての葛藤と検査の全詳細を、同じように不安な夜を過ごしている方に向けて残します。
産後3日目の新生児聴覚スクリーニングの結果と再検査
上の子2人の時は、何の問題もなく「正常でした」の一言で終わっていた新生児聴覚スクリーニング検査。しかし、次女の時は助産師さんの様子が違いました。
「ちょっとうまく検査できなかったんですけど、羊水が耳にたまっているだけとかよくあることなんで!明日また検査しますね!」
早口でパパパっと伝えられ、私と目を合わせないようにしているような違和感に、胸がざわつきました。
「聞こえていないかもしれないってことですか?」と聞き返しても、「いや、ほんとによくあることなんで!」という答え。その時感じた嫌な予感は、残念ながら当たっていました。
次の日の再検査の結果は、左耳はパス、右耳はリファー(要精密検査)。片耳がパスなら大丈夫と自分に言い聞かせつつ、ChatGPTに相談しては「片耳難聴のケースは少ないから恐らく問題ないケースが多い」という知識に縋り、必死にメンタルを保とうとしていました。
その後、1ヶ月健診の時に精密検査をしてくれる病院への紹介状をもらえることになりました。
進行性難聴かを知るための「サイトメガロウイルス検査」
リファーになった際、産院で赤ちゃんが受けたのが「サイトメガロウイルス」の尿検査です。
このウイルスに胎児のときに感染していると、後から聴力が低下する「進行性難聴」の原因になる可能性があるため、非常に重要な検査です。
ここでポイントなのは、生後すぐの入院中に採尿しないと、「母子感染」なのか「退院後の感染」なのかの区別がつかないというスピード感です。
わが家の場合は、1ヶ月健診の時に「陰性」とわかり、ウイルス由来の難聴ではないことが確定しました。
妊娠中はサイトメガロウイルスに注意!というのはなんとなく知っていましたが、私はそれが難聴にもつながる可能性があるということまでは知りませんでした。(知っていたとしても、マスクくらいしか予防は難しいと思いますが…)
退院後の「聞こえ」への不安とモヤモヤ
退院後、家での生活が始まっても、娘の反応を疑ってしまう日々が続きました。
生後2週間頃にはとてもよく寝る子ということもあり、「もしかして左耳も聞こえていないのでは?」と思うほど音に対する反応が薄い時期もあり、不安は募るばかりでした。
しかし徐々に、調理の音にビクッとしたり、上の子たちの騒がしさに反応したりと変化が見え始めました。
音で起きてしまうことにさえ「聞こえてる!」と喜びを感じるという、不思議な心理状態のまま過ごしていました。
1回目のABR検査:寝かしつけのプレッシャーに敗北
生後1ヶ月、紹介された病院で最初のABR検査(聴性脳幹反応検査)を受けました。
この検査の最大のハードルは、赤ちゃんを意図した時間にぐっすり眠らせることです。
ABR検査の場合、ぐっすり眠った状態で音を聞かせて脳波の波形を見るのですが、この病院では生後6ヶ月以降であればトリクロという睡眠薬のような薬を使えるとのことでした。
生後1ヶ月の娘の場合は、睡眠薬による意識障害等のリスクがあるため、母乳やミルクで眠らせる、いわゆるミルクスリープと呼ばれる方法で眠らせるしかありませんでした。
当日は頑張って授乳などで調整しましたが、娘は半分起きた状態になってしまいました。
起きた状態の脳波では結果としてノイズが入りまくり、この日は「結果が出ない」という結末に終わりました。
「きっと大丈夫な結果をもらえる」と期待していた分、結果がわからないことへのモヤモヤで、メンタルはさらに削られていきました。
2回目のABR検査:「人間ベッド」になりきった再挑戦
2日後、すぐに再検査のチャンスをもらいました。
今度は絶対に失敗したくなかったので、完母でしたが念のためミルクを持参し、さらに普段使っている授乳枕も持ち込みました。
しかし当日は哺乳瓶を完全拒否。結局また授乳で頑張るしかありませんでした。
検査室のベッドに降ろすと起きてしまうため、私自身が授乳枕をつけて「ベッド」になりきり、その上で娘を寝かせたまま検査を受けました。
私が動くとノイズが入るため、呼吸を細くし、完全に静止しました。終わった後は疲れ果てましたが、なんとか検査は完了しました。
しかし出た結果は、両耳とも40dBくらいからしか聞こえていない「中等度難聴」の可能性を指摘されるという、残酷なものでした。パスしていたはずの左耳まで指摘され、ショックで頭が真っ白になりました。
一方、この病院では生後1ヶ月の子の聴覚はこれ以上詳しく調べられず、具体的な対処もできないとのことで、こどもの専門病院にさらに紹介されることになりました。
こども専門病院での精密検査(ASSR)
生後3ヶ月を待って、日本でも有数のこども専門病院へ向かいました。
ここではABR検査ではなく、ASSR検査を行うことになりました。
先生曰く、ABR検査は脳波を見て判断することによる曖昧さがあるのに対し、ASSR検査でははっきりと「何dBが聞こえているか」という数値が出るとの説明がありました。
この病院ではミルクスリープではなくトリクロが処方され、あれほど苦労した寝かしつけが嘘のように即寝してくれました。おっぱいだけで眠らせなければというプレッシャーから解放された瞬間でした。
万が一の時のバックアップ体制もある病院での検査は、安心感もありました。
また、検査前の診察でかなりの量の耳垢を取ってもらったことも印象的でした。これも今までのリファーに影響していたのでは?と思うほどでした。
約30分の精密検査(ASSR)の結果、先生から告げられたのは「正常、健聴」という言葉でした。「その辺の大人よりよっぽど聞こえている」と言われ、安心感から病院で涙が止まりませんでした。
もちろん、この先の成長段階において難聴が発生する可能性はゼロではありませんが、それはこの子に限らず誰にでもあることだと説明を受けました。
新生児聴覚スクリーニングでの難聴疑惑に関しては、この検査をもって終わりとなり、今後の通院等も一切必要ないとのことでした。
振り返って伝えたいこと:後悔しないための病院選び
3ヶ月にわたる検査の日々を振り返り、今同じ不安を抱えている方に一番伝えたいのは、赤ちゃんが小さければ小さいほど、設備と体制の整った専門病院で受診することの重要性です。
私は当初、少しでも早く結果を知りたくて予約の取りやすさを優先しましたが、そこでは新生児特有の難しさに対応しきれない部分があったと感じています。(私が見ていた感じでは、ヘッドフォン等もキッズサイズで、生後1ヶ月の子にはかなりぶかぶかだったと思います。)
小さい月齢の子に合わせた器具や、ノイズを排除できる環境、そして乳児への鎮静剤の使用体制などは、病院によって大きく異なります。(実際、最初の病院では「薬は生後半年から」と言われ、自力で寝かせる過酷な戦いになりました。)
もし精密検査で難聴が確定したとしても、そこがゴールではありません。
専門病院であれば、その後のフォロー体制や、必要に応じた手術・療育の選択肢までがシームレスに繋がっています。
正確な診断こそが、適切な支援への第一歩になります。
今受けている検査で結果がモヤモヤするなら、こども専門の医療機関にかかることをぜひ検討してみてください。
たとえ紹介状を書いてもらうことに気が引けたとしても、一番大切なのはわが子の正確な現状を知ることです。体制が整った場所で納得のいく検査を受けることが、ママやパパの心の安定にも繋がります。
この記事が、誰かの不安な夜を終わらせる一助となることを願っています。


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